2023年 8月 1日
新型紙容器成型機「PF-18」を開発
新型紙容器成型機「PF-18」を開発
~ 従来機と比べ約25%小型化、イージーメンテナンス 、約20%コストダウン ~
PF-18の外観
このたび四国化工機株式会社(本社:徳島県板野郡北島町、代表取締役社長:植田滋)は、紙容器成型機「PFシリーズ」の新型機PF-18を開発しました。当該新型機は、既に当社のグループ会社である四国パック株式会社の滋賀工場に納入されており、本年5月中旬に本格稼働を始めてから大きなトラブルなく、現在では安定稼働に至っております。
「PFシリーズ」は高衛生な環境で紙容器を成型することができる四国化工機の紙容器成型機シリーズです。
従来機のPF-01は、成型機本体のサイズが大きく、高価格でした。それを改善するべく、新型機のPF-18を開発しました。新型機のPF-18では、駆動部において、カムの良いところは活かしつつ、サーボも併用することによって、約25%小型化とイージーメンテナンスを実現することができました。さらに、仕様の見直しや使用部品の統一化によって約20%のコストダウンを達成することができました。
【基本仕様】
機 種 名 : PF-18
能 力 : 最大180個/分
価 格 : 本体約1億円
成型容器形状: 丸容器及び角容器兼用
成型容器寸法: ■全高:40~178mm程度
■フランジ径:φ52~φ125mm程度(丸容器)/ 48×48~110×85mm程度(角容器最大)
■底径:φ38~φ100mm程度(丸容器)/ 38×38~90×90mm程度(角容器最大)
■容器テーパ角度:3°~9°
主要寸法 : 幅1,910mm×長さ2,310mm×高さ2,350mm
PF-18で成型した紙容器
【特徴① 約25%小型化】
PF-18は、従来機のPF-01に比べ、約25%小型化しました。小型化は、次の三点の工夫により実現しました。
一点目は、いくつかあるカム駆動の大多数をサーボ化したことです。PF-01の駆動部はカム駆動でしたが、カムに比べてサーボは配置の自由が利くため、駆動部をコンパクトに納めることができました。
二点目は、成型の順序を、胴→ボトム→トップに変更したことです。PF-01では、胴の次にトップを成型していましたが、その場合、容器を上から下に受け渡す必要があり、成型機本体が高くなっていました。
三点目は、胴巻き部,ボトム成型部,トップ成型部を動かす各テーブルのインデックスを内製したことです。胴巻き部,ボトム成型部,トップ成型部では、テーブルが移動し、停止時に各工程が行われるようになっておりますが、そのためにはテーブルを均等な角度で間欠的に回すことが必要であり、その役割をインデックスが担っております。通常、インデックスは市販のものを使用していますが、ベッドフレーム内の容積に制限があることを理由に市販のものを使用することができませんでした。そこで、四国化工機は徳島カム株式会社(徳島県板野郡北島町)の技術協力を得て、ベッドフレーム内に納められる「小型かつ性能の高いインデックス」を共同開発しました。
【特徴② サーボ化で自由度向上】
サーボは、指示を出した通りに、位置や速度,回転力を正確に再現することができます。そのため、容器サイズを変更した時には、容器サイズに合わせてストロークや動きを変更することができるなど、各部の動きを自由に変えることが可能です。なお、新型機はサーボ化できるところはサーボ化する一方、一部干渉(部品同士の接触)の影響があるところは駆動部をカムにしてメカ的に制御するなど、カムのメリットとサーボのメリットを併用しています。
【特徴③ サーボ化でイージーメンテナンス】
サーボは、前述の通り調整が容易にできることから、メンテナンス性の向上にもつながりました。また、オイルを使用する必要がなくベッドフレーム内を清潔に保つことができるメリットもあります。
【特徴④ 約20%コストダウン】
従来機のPF-01の仕様を見直し、部品点数を削減したほか、不要な加工や処理を減らしました。また、部品をなるべく統一して予備部品を最小限に抑えました。その結果、コストを約20%削減することができました。
【特徴⑤ 稼働状況の可視化と将来のIoT化】
PF-18では、カッターやモータの電流値、ルブリカント(成形助剤)の使用量を可視化しています。それにより、稼働状況を常に把握することができ、これらを遠隔で管理できるようなIoT化も検討中です。
【特徴⑥ 騒音軽減】
PF-18では、従来機のPF-01に比べて、樹脂カバーを厚くし、遮音性を上げました。さらに、サーボ化したこと、カバーの裏側に防音材を貼り付けたことによって駆動部の音が軽減されました。
【特徴⑦ 省エネ】
PF-18は、四国化工機ブランドの製品では初となる「回生コンバータ」を使用しています。回生コンバータは、外から与えられた動力や負荷によって(電力を要しない減速時や下降時に)モータから発生する“回生エネルギー”を電力として電源側に戻し、再利用することができる装置です。通常、回生エネルギーは、熱として放出されるだけなので、電力を無駄にしてしまいますが、この装置によって、熱ではなく電力に変えられることから、省エネの効果を期待することができます。効果については長期的にとらえる必要がありますが、納入先が自社グループであり、運転状況や経過をリアルタイムで知ることができるのは、三事業を展開する四国化工機ならではのメリットです。
数年前から脱プラスチック化が進み、紙容器に追い風が吹いています。それに伴って、各企業でも環境対応が求められるようになりました。今はプラスチック容器で提供されている飲料も、順次紙容器に変わる可能性が高いと思われます。
特に、海外では「長期に亘って漏れない紙カップ(内容物が浸透しない紙カップ)」の技術が未だ確立されていないことから、「紙カップに入ったヨーグルト」は敬遠されています。しかし、前述の通り、プラスチック容器から紙容器への流れがある中、いずれはヨーロッパを中心に海外でも同様の流れが来ることが予想されますので、将来的には海外へPF-18と「漏れない紙カップの製造技術」を輸出することを視野に入れております。
このような中、四国化工機は、グループ会社である四国パックの紙容器生産に寄与させると共に、海外での展開に向けて、駆動部をサーボ化した小型かつ性能の高い紙容器成型機を開発いたしました。
四国化工機は、機械事業,包装資材事業,食品事業を展開しております。このたび開発したPF-18は、三事業を展開する四国化工機ならではの紙容器成型機です。今後も、これら三事業の相乗効果を発揮し、さらなる食文化の発展に貢献してまいります。